
租税を軽減するある行為について、これは「節税」であるとか、「脱税」「租税回避」である、といった言い方をされますが、それぞれどういう意味があるのでしょうか。少し注目してみたいと思います。
まず、「脱税」(租税補脱とも言います)ですが、これは違法な方法で税負担の軽減を図ることを指します。つまり、仮装・隠蔽行為によって課税の基礎となる事実を作り、または消した上で、本来よりも少ない税額を申告した場合、それは脱税に当たるわけです。例えば、売上があるにもかかわらず、帳簿に記載せず、少ない売上高として申告した場合です。これは脱税ですから、それなりのペナルティ(重加算税や刑事罰の重課もあります)が課されることになります。
次に「租税回避」ですが、これが一番微妙なところだと思います。法律上の定義があるわけではないのですが、一般的に@異常な行為形式を利用し、A通常の行為形式を利用するのと同様の経済的効果を得ながら、B税負担を軽減することである、と理解されています。例えば、昔だと(今は簡単にはできませんが…)相続税負担を軽減するために、相続人を遺産税方式(遺産に対して税金がかかるのでもらう人はかからないというシステム)を採用するアメリカに移らせる、といった場合です。端的に言うと、「合法的ではあるけれど、法の穴を利用していてズルい」場合、でしょうか。特徴としては、直接的な違法性がないということです。「直接的に」と言ったのは、日本国憲法上問題がないわけではないからです。憲法では第14条で法の下の平等を定めており、ここから税負担についても租税平等原則・実質主義の原則が導かれます。そこからすると違法と言えなくもありません。したがって、「租税回避」については個人的にペナルティが課されることはありませんが、立法政策上の問題として、禁止するよう法改正すべき要請のある行為だと解するべきなのです。
最後に「節税」ですが、これは合法的に、且つ異常な行為形式を用いず、税負担を軽減することを言います。例えば、所得税の医療費控除を使うために、医者にかかったときの領収書をもれなく集めておくとか、消費税の仕入控除額を大きくするために、土地を買う予定があれば本則課税にするとか、そういう場合です。いわばズルくない税負担軽減、でしょうか。
以上、紛らわしい3つの言葉を簡単に解説してみました。言葉の定義を知ったところでどうなるというわけではないのですが、税法を考える上で参考になればと思います。
(職員K)
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