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相続法の基礎知識

 前回のコラムで親族関係について説明しましたので、せっかくですから今回は相続のしくみについて簡単に書いてみたいと思います。

 相続とは何なのでしょう?

 相続を考える前に、まず前提として所有権というものを考えなくてはなりません。あるモノに対して自分の好きに処分する権利がある場合、その権利を所有権と言います。

 では、あるモノに対して所有権を持っている人が亡くなった場合、その所有権はどこに行くのでしょうか?

 例えば、そのまま死んだ人に所有権があるとすれば、誰もそのモノを処分することができないことになります。逆に、所有権が全くなくなり、誰のものでもない、とすると、それはそれで争いがおこったりして混沌とします。

 そこで所有権者が亡くなった場合の権利の顛末について、誰に渡るのか定めた仕組みが「相続」なのです。(※1)

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では相続によってどのように所有権は移っていくのでしょうか?

 基本的には、元々の所有者である被相続人(亡くなった人のことです)の意思が尊重されます。なんせ好きに処分する権利を持っていたわけですから、誰に渡すか決めるのも自由なのです。

 つまり、遺言があれば、それを記載した遺言書(※2)のとおりに相続、つまり所有権が移っていくことになります。(※3)

 では、遺言書がなければどうなるのでしょうか。死者の意思を推測したり証明したりすることは不可能ですから、ここからは法律が明確に権利者とその持分を定めています。これを法定相続分といい、次のように定めています。

 まず、相続人となり得る人は、被相続人の配偶者子(既に死亡の場合は孫)直系尊属(親など)兄弟(既に死亡の場合は姪甥)です。配偶者は必ず相続人となり、子がいない場合は直系尊属が、子がおらず直系尊属もいない場合は兄弟が相続することになります。

 その上で、相続分は次のようになります。


配偶者と子・孫が相続人の場合

配偶者=1/2

子・孫の全員=1/2

配偶者と両親・祖父母が相続人の場合

配偶者=2/3

両親・祖父母の全員=1/3

配偶者と兄弟・姪甥が相続人の場合

配偶者=3/4

兄弟・姪甥の全員=1/4

 配偶者・子供・直系尊属・兄弟姉妹、の順で相続分が優先される仕組みになっています。

 相続財産・債務は必ず相続分だけもらわなければならないというものではありません。相続人同士で話し合い、全員の合意があれば法定相続分に従わなくても構わないのです。

 もらったら自由に処分できるわけですから、もらう人たちが話し合って合意した内容にするのは合理的なことです。

 ということで、このような話し合いを遺産分割協議といい、その話し合いがまとまったことを証明する書類を遺産分割協議書と言います。(法定相続分で相続する場合でも、遺産分割協議書を作っておけば後で争えないので無難です。銀行などの第三者に相続内容を証明するのに必要なこともありますので。)

 ところで、相続は所有権のようなプラス財産ばかりでなく、マイナスである債務も引き継がないといけません。したがって、財産よりも債務の方が多いといった場合もあります。このような場合でも、否応なく債務を負わなければならないのでしょうか?

 答えとしてはNOです。限定承認という相続の方法があり、限定承認を行うとプラス財産の範囲でのみ債務を引き継ぐことになります。つまり、マイナスの資産を負うことはなくなります。


※1
もちろん、所有権だけではなく、債務もしっかり相続します。

※2
自筆証書遺言
公正証書遺言
秘密証書遺言
といった種類があります。日付・押印など、有効条件が決まっています。
詳しくは次回以降にでも書きます…。

※3
法律上、「これくらいは残された人に対してあげてもいいんじゃない?」という額が決まっていて、
それを「遺留分」と言います(配偶者や子の場合、遺留分は法定相続分の半分です)。遺留分に反した遺言も有効ですが、遺留分を持つ人は遺留分減殺請求を行って、遺留分だけ取り返すことが可能です。

(職員 K)

   
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